米国銃社会の恐ろしさ、南部に旅行して学ぶ

This entry is part 3 of 4 in the series 米国銃社会の恐ろしさ

僕は米国の南部に憧れている。

高校時代、アジア人かつカソリック信者である僕は南部の大学だけは避けるべき、と教師から忠告を受けたのだが(南部はキリスト教と言ってもプロテスタント派が一般であり、白人以外は差別の対象となるため)、南部の人の訛りやゆったりさ、そして南部の文化にどういうわけか魅力を感じてしまう。

そんな南部に一人だけ親しい友達がいる。サムという名の彼は、ニューヨークは一度だけ行ってもうこりごり、と語るような、生粋の南部っ子である。彼が話をしてくれる南部の世界は僕が知らない別世界の話でいつも興味深い。

数年前に日本への転勤が決まった時、今後はそう簡単に会う機会がないと思ったサムに会いに行くことにした。

南部といえば米国の中でも特に銃が浸透している地域だ。その頃僕が住んでいたニューヨークでは中々撃つ機会がなかった僕のピストルもテネシー州なら容易に撃つ機会を見つけられるだろうと思い、テネシー州まで持っていくことにした。

そこでまず調べたのが、どうやったら銃を飛行機に持ち込めるか、ということである。

常識的に考えて拳銃は危険物だ。よって僕は、航空会社のホームページで「危険な手荷物」について説明されているページを調べてみたのだが、いくら読んでも銃についての記載が見当たらない。銃の持ち込みが禁止されているというようなことはありえないのを知っていたので、これは何か勘違いをしているのだと思い総合検索をかけたところ、なんと銃器はゴルフバッグやスキーと同じ「スポーツ用品」扱いであることが判明した。それまで米国の銃文化について色々学んできたつもりだったが、この時ほどまだまだ理解が足らないことを実感した時はなかった。

さて、航空会社のホームページに記載されていた銃の持ち込み方は極めて簡単。①弾を抜く、②鍵がかかるケースに入れる、③チェックインの際に申告する。それだけである。

本当にそんな簡単なのか半信半疑であったが、実際、そんな簡単だった。空港で「拳銃があります」と申告したら、中年のオバさんが「あ、そう。じゃあ、ちょっと見せて」と慣れた感じで僕に拳銃のケースを開けさせ、「銃弾は抜いてるわよね」と僕に聞きつつも本人は確認しないまま、最後に一枚ものの申告書に署名させられただけで、手続きは完了した。

こうして無事、拳銃とともにテネシーに到着。空港まで迎えにきてくれたサムにスーツケースの中にピストルが入っていることを伝えると、「それなら後でおじいちゃんの田んぼに行って一緒に射撃しよう」と言ってくれた。親友と共に銃を撃てるなんてなんと南部らしい体験なのだろう、と興奮してしまった。

サムの家に着いてすぐに射撃に行こうという話になったのだが、その前にサムが向かったのは寝室。ナイトスタンドの一番上の引き出しからピストルを出してきたので、「それ、弾入っているの?」と僕が聞くと、サムは微笑しながら「もちろん」と回答。「万が一のため?」と続ける僕に、サムは「そう、万が一のため」と今度は笑いながら答えた。

さすが南部、と感心してしまったが、実はこれは大して驚くほどのことではない。以前サムから聞いた話によると、彼が初めてライフルを撃ったのは10歳になるかならないかの時で、高校時代に運転していた車のダッシュボードには常にライフルをのせていたそうだ。

こうして準備が整いサムの家からおじいちゃんの田んぼに向かったのだが、この続きはまた次回のお楽しみ。

また、米国銃社会の恐ろしさについていい勉強になった銃購入免許取得の話や研修を受けた時の話もぜひ読んでください。

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